「定員超過利用減算」とは、指定された定員を超えて児童を受け入れた際に、報酬(給付費)を減額する制度です。
放課後等デイサービスは、都道府県や指定都市などから「1日に受け入れられる上限人数(=定員)」を定められており、それを守ることが義務付けられています。
しかし、たとえば
- キャンセル待ちが多い
- 保護者の要望でやむを得ず受け入れてしまった
- 職員は足りているし、部屋も空いている
といった事情で、つい定員を超えて受け入れてしまうケースがあります。
でも、これは原則としてNG。定員を超えた日の分については、サービス提供実績に応じた報酬が「減算(マイナス)」されることになります。
◆ 減算のルール(2024年度報酬改定後)
以下は2024年度の報酬改定に基づく内容です。
-
減算の対象となる条件
以下のすべてに該当した場合、「定員超過利用減算」の対象となります。
条件 | 内容 |
① | サービス提供日あたりの利用者数が、指定された定員を超えた |
② | 利用児童が1名でも定員を超えていた場合 |
③ | 1日のサービス提供実績ごとに確認される |
-
減算される単位数
直近過去3か月の利用実績によって基準が異なり、所定単位数の30%が減算されます。
* 一日あたりの利用実績による計算
・利用定員50人以下の場合、一日当たりの利用人数が 利用定員×150% 以上
・利用定員51人以上の場合、一日当たりの利用人数が
利用定員+(利用定員-50)×25%+25の計算式 以上
* 過去3か月の利用実績による計算
・利用定員11人以下の場合、平均値が 利用定員+3 以上
・利用定員12人以上の場合 利用定員×125% 以上
◆ 注意したい3つのポイント
①【職員配置や広さが足りていてもダメ】
「部屋も広いし、職員も余裕あるし…」という場合でも、定員は行政からの指定です。自己判断での定員超過は、報酬上だけでなく、運営指導や改善命令の対象になる可能性もあります。
②【急な依頼にも要注意】
とくに長期休暇中(夏休みなど)や学校行事の振替休日は、利用希望が集中しやすく、つい受け入れてしまいがち。でも、定員を超えれば即減算対象になりますので、事前の予約管理と保護者への説明が重要です。
③【「定員の解釈」を間違えない】
「登録児童数」ではなく、1日の利用予定数(実人数)で判断されます。
◆ 減算を防ぐためにできる対策
- 利用予約の管理を徹底する
- 利用予約表を作成し、日ごとの利用人数を明確に管理
- 定員に達した日には、新たな受け入れをお断りする体制を整える
- 保護者にも定員の仕組みを丁寧に説明し、理解を得る
- キャンセル待ちリストを活用する
- 利用キャンセルが出た場合の補欠枠を設ける
- 「急な依頼→定員オーバー」を避けるためのルールづくりが大切
◆ よくある質問(Q&A)
Q:何人までなら超えても大丈夫?
A:1人でも定員を超えたら減算対象です。
Q:一時的な対応でもだめですか?
A:原則としてNG。どうしてもやむを得ない場合は、事前に指定権者へ相談を。
Q:定員の変更はできますか?
A:可能です。ただし、変更には申請と審査が必要で、時間がかかります。早めに検討しましょう。
◆ まとめ
放課後等デイサービスにおける「定員超過利用減算」は、
“ほんの少しだから…”が命取りになる報酬制度です。
・1人でもオーバーすると、減算の対象となる
・最悪、行政指導の対象になることも
だからこそ、「事業所の定員管理」は、運営上もっとも基本で、重要なポイントのひとつです。
保護者対応や日々の現場で忙しい中でも、「予約管理」「説明」「予防策」の3つを意識して、安定した運営を目指していきましょう。
お困りごとはお気軽にご相談ください
当事務所では、放課後等デイサービスや児童発達支援などの開設・運営支援を行っています。
書類作成の流れや減算防止のチェック体制づくりなど、お気軽にご相談ください。
事業主様の、不安・面倒・わからない・質問したい等というお気持ちに寄り添いサポートさせていただきます。
西宮市・尼崎市・宝塚市・伊丹市ほか近隣地域で
放課後等デイサービスを始めようとお考えの事業主様、行政書士に申請書類作成をご依頼いただき、事業主様は開業準備に専念しませんか。
初回相談は無料です。
お気軽にお問い合わせくださいませ。