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放課後等デイサービスの「利用者負担上限額管理加算」とは?

今回は、放課後等デイサービスの運営に関わる事業者の皆さまに向けて、「利用者負担上限額管理加算(以下、上限管理加算)」について詳しく解説してまいります。

日々の運営において確実に押さえておきたい大切な業務に対する評価なのです。特に事務ご担当の方には、必見の内容となっています。

 

利用者負担上限額とは?

障害福祉サービスは「応能負担」の原則に基づいており、利用者やその世帯の所得に応じて、1か月に負担する自己負担額に上限額が設けられています。この上限額を超えたサービス利用料については、公費で賄われるため、利用者が支払う必要はありません。

たとえば、低所得世帯の場合は月額0円になることもありますし、一般的な世帯でも月額上限4,600円や37,200円などが設定されています(世帯の課税状況による)。

 

利用者負担上限額管理加算とは?

「利用者負担上限額管理加算」は、放課後等デイサービス事業所が、利用者の上限額の範囲内で自己負担額を管理し、他のサービス事業所との間で調整を行った場合に算定できる加算です。

放課後等デイサービスの利用者が、同じ月に複数の障害福祉サービス(例:訪問系・短期入所・児童発達支援など)を併用している場合、どの事業所で上限管理を行うかを「代表事業所」として決める必要があります。

上限管理を担当する代表事業所は、他の事業所と連携しながら利用実績と負担額を調整し、利用者が上限額を超えないように管理する役割を担います。この事務作業を評価するのが「上限管理加算」なのです。

 

加算の目的

上限管理加算の目的は大きく3つあります:

1.利用者が負担上限額を超えないように正確に管理すること

2.複数のサービスを利用している場合に負担調整を行うこと

3.利用者や家族に正確な情報提供を行い、安心してサービスを受けてもらうこと

特に、障害のあるお子さまを支えるご家庭にとっては、支援サービスの費用が月をまたいで高額になることへの不安も少なくありません。こうした金銭的負担の見通しを事業所がしっかり管理することで、保護者の安心感にもつながります。

算定の対象と要件(令和6年度時点)

【算定対象】

  • 他の障害児通所支援事業所や障害福祉サービスを併用している児童が対象
  • 放課後等デイサービス事業所が「上限管理事業所」として調整・報告等の管理を行っている場合

【要件】

1.利用者の上限月額を把握していること

2.他事業所と連携して、月ごとの利用実績・負担額を調整していること

3.支給決定内容に基づいて適切な調整がなされていること

4.記録(管理表・報告書など)を整備し、必要に応じて提示できること

5.市区町村から「上限額管理事業所」として指定または届け出がなされていること

単位数(報酬)と頻度

区分 単位数(1月あたり)
利用者負担上限額管理加算 150単位

この加算は月1回限り算定できます。あくまで「上限額管理を実際に行った月」に限り算定可能です。形式上「代表事業所」となっていても、実際に管理を行っていない場合は算定不可となるため注意が必要です。

 

実務上のポイントと注意点

利用者からの上限額確認がスタート

まず、利用者の「上限額管理表(上限額管理結果通知書)」を保護者から提出してもらうことが基本です。これにより、その方の自己負担上限がいくらかを把握できます。

他事業所との連携が不可欠

同月に他の通所支援を受けている場合、その事業所と連絡を取り合い、利用実績を共有しなければなりません。FAXやメールを使った「実績連携様式」のやり取りが主流です。

記録は必ず保存する

連絡の記録、管理表、利用実績の照合結果などは、加算を算定した月の根拠資料として最低5年間保存が必要です。実地指導で確認されるポイントでもあります。

毎月チェックが必要

翌月初旬には速やかに管理業務を実施し、必要に応じて他事業所と調整を行いましょう。管理が遅れると、保護者から「請求額が多すぎる」と誤解を受けることもあります。

 

加算のメリット

  • 事務業務に対する正当な報酬が得られる
  • 保護者からの信頼を得られる
  • 他事業所との連携が深まり、地域連携が強化される
  • 加算算定によって収益面での安定化につながる

管理業務の大切さと手間に見合った報酬が用意されている点で、非常に意義のある加算です。


まとめ

「利用者負担上限額管理加算」は、放課後等デイサービス事業所が利用者の自己負担額を正確に把握・管理し、他事業所との連携を行うことで算定できる加算です。月150単位という加算額ですが、丁寧な対応をすることで保護者の信頼にもつながり、ひいては事業所全体の信頼性向上にも寄与します。

特に事務業務の一環として取り組んでおられる皆さまにとって、この加算はまさに「縁の下の力持ち」的な存在といえるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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