2024年度の障害福祉サービス報酬改定により、新たに設けられた『中核機能強化事業所加算』は、地域の障害児支援の中核拠点としての役割を担う放課後等デイサービス事業所を評価する加算です。本記事では、この加算の概要や要件、算定の注意点について詳しく解説します。
1.『中核機能強化事業所加算』の目的
本加算は、障害児とその家族に対して専門的かつ包括的な支援を提供する事業所を評価し、地域の支援体制の充実を図ることを目的としています。市町村が地域の支援拠点として位置付けることで、より専門的な支援が可能となります。
2.加算の算定要件
『中核機能強化事業所加算』を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
(1) 市町村からの位置付け
事業所が、市町村により「地域の障害児支援の中核拠点」として認められることが前提条件です。そのため、まずは市町村との連携が重要となります。
(2) 専門人材『中核機能強化職員』の配置
- 対象職種:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、保育士、児童指導員、心理担当職員など
- 経験要件:上記の資格取得後、障害児通所支援・入所支援・相談支援業務に5年以上従事していること
- 配置の条件:常勤専任職員として配置し、地域支援も担うこと(ただし、保育所等訪問支援の訪問支援員との兼務は不可)
(3) 包括的な支援の提供
- 多職種連携による専門的な支援の実施
- 地域の障害児通所支援事業所との連携体制の確保
- インクルージョン(社会的包摂)の推進
- 地域の保育所等への助言や支援
3.加算の単位数
『中核機能強化事業所加算』の単位数は、事業所の定員や対象児童の状況によって異なります。
- 障害児の場合
- 定員10人以下:187単位
- 定員11~20人:125単位
- 定員21人以上:75単位
- 重症心身障害児の場合
- 定員5人:374単位
- 定員6人:312単位
- 定員7人:267単位
- 定員8人:234単位
- 定員9人:208単位
- 定員10人:187単位
- 定員11人以上:125単位
4.算定における注意点
『中核機能強化事業所加算』を適正に算定するために、以下の点に留意してください。
(1) 地域内の連携強化
同じ地域内に複数の事業所が加算を取得している場合、市町村や他事業所と日常的に連携を図る必要があります。
(2) 取り組み状況の公表
地域の児童支援体制の状況について、他の加算取得事業所と共同で情報を公開し、透明性を確保することが求められます。
(3) 外部評価の実施
自己評価に加え、第三者機関による客観的な評価を受け、事業所の質の向上に努める必要があります。
(4) 届出手続きの遵守
要件を満たさなくなった場合は、速やかに届出を行い、加算を停止する必要があります。不適切な算定は、指導監査の対象となる可能性があるため注意が必要です。
5.まとめ
『中核機能強化事業所加算』は、地域の障害児支援体制を強化し、より専門的な支援を提供するために設けられた加算です。算定には、市町村の位置付けや専門人材の配置、地域との連携が不可欠です。
適切な手続きを行い、地域の中核拠点としての役割を果たすことで、障害児とその家族により良い支援を提供することができます。今後、放課後等デイサービス事業所の運営において、この加算の取得を検討する際の参考になれば幸いです。
参考:障害者総合支援法 事業者ハンドブック 報酬編(中央法規)
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