今回は放課後等デイサービス事業者の皆さまに向けて、知っておくべき「虐待防止措置未実施減算」について、できるだけやさしく、わかりやすくご説明します。
「虐待防止の取り組みはしているつもりだけど、それでも減算されるの?」
「忙しくて記録までは追いつかなくて…」
そんな声を、実際の現場からよく耳にします。
この記事を読めば、「何をしておくべきか」「どこでつまずきやすいか」がはっきりわかりますよ。
◆ 虐待防止措置未実施減算とは?
虐待防止措置未実施減算とは、放課後等デイサービスの事業所が「虐待防止に必要な体制整備をしていない」と判断された場合に適用される指定基準違反による減算です。
放課後等デイサービスをはじめとする障害福祉サービスは、子どもたちの安心・安全を第一に支援することが求められます。
そのため、事業者には虐待の未然防止や早期発見、適切な対応ができるよう、体制を整えることが義務付けられているのです。
◆ 義務づけられている体制整備
以下の虐待防止措置を実施していることが必要です。いずれかを行っていない場合に減算の対象となる可能性があります。
① 虐待防止委員会の開催と結果の周知
年に1回以上の開催が必要です。
内容としては、虐待の未然防止や再発防止についての話し合い、実際の事例の検討、現場での課題共有などが求められます。
開催した場合は、結果を従業者に周知し、また、議事録や出席者記録を必ず残しておくことが大切です。
② 虐待防止担当者の設置
事業所ごとに1名以上の担当者を定め、職員からの相談窓口や、実際に虐待が疑われる場合の対応、記録の管理などを担います。
この担当者が誰であるかを職員全体に周知していることが必要です。
③ 虐待の防止のため研修の実施
すべての職員に対して、年に1回以上の研修が義務づけられています。
ここでも、研修記録(開催日・参加者名簿・使用資料など)を残すことがポイントになります。
◆ 減算の単位数
では、これらの体制整備を怠った場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。
減算名 | 減算単位数 | 備考 |
虐待防止措置未実施減算 | ▲1% | 所定単位数99%を算定 |
◆ よくある見落としポイント
「ちゃんとやっているのに減算対象になった…」というケースの多くは、“証拠が残っていない”ことが原因です。
以下のようなケースに心当たりはありませんか?
- 委員会は開催しているが、議事録がない
- 研修は実施しているが、資料や名簿を取っていない
- 虐待防止担当者を決めているが、明文化されていない
制度上、「やった」だけでは足りず、「やったことを記録して残しておく」ことが求められます。
◆ 減算を防ぐために今すぐできること
◇ 年間スケジュールを作成する
年度初めに、虐待防止委員会の開催日や研修の実施予定日を決めておきましょう。
あらかじめ計画に組み込むことで、うっかり忘れも防げます。
◇ 様式をあらかじめ整備する
委員会議事録のテンプレートや研修参加名簿の様式などを事前に準備しておくと、記録がぐっと楽になります。
◇ 担当者を就業規則や体制図に明記
「担当者は●●さんです」と全職員に周知し、書面にも記載しておきましょう。体制が“見える化”されていることが大切です。
◆ 最後に
虐待防止措置未実施減算は、単なる“事務的なミス”であっても、経済的損失を招いてしまいます。
一方で、こうした体制をしっかり整えておくことは、保護者や関係機関からの信頼にもつながります。
「この事業所なら安心して子どもを預けられる」と思ってもらえるような環境づくりの一歩として、ぜひ今一度、自事業所の体制を確認してみてくださいね。
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