今回は、共同生活援助(グループホーム)を運営されている方向けに、「日中支援加算」について分かりやすく解説します。
この加算は、入居者さんが日中の時間をグループホームで過ごすケースにおいて、適切な支援を提供している事業所に対して支給される加算です。対象要件や算定ルールがやや複雑なため、「気にはなっているけれど、手をつけられていない…」という運営者さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、日中支援加算の基礎から、申請・運営のポイントまで丁寧にご説明します。
◆ 日中支援加算とは?
日中支援加算とは、障害福祉サービスの中でも「共同生活援助(グループホーム)」において、日中に外部の通所先(就労継続支援事業所、生活介護事業所など)を利用せず、グループホーム内で過ごす利用者さんに対して、適切な支援体制を確保している場合に算定できる加算です。
つまり、こんなケースが対象です:
- 高齢や重度障害により、通所が難しい方が多い
- 医療的ケアや常時の見守りが必要な利用者さんが多い
- 在宅(グループホーム)での日中支援が中心になる
◆ 日中支援加算の種類と単位数(令和6年度版)
以下は、主な加算区分と単位数の一覧です。
【日中支援加算Ⅰ】
日中支援対象利用者数 | 単位数(1日あたり) |
1人 | 539単位 |
2人以上 | 270単位 |
【日中支援加算Ⅱ】
日中支援対象利用者数 | 区分 | 取得単位数 |
1人 | 区分4・5・6 | 539単位 |
区分3以下 | 270単位 | |
2人以上 | 区分4・5・6 | 270単位 |
区分3以下 | 135単位 |
◆ 算定の主な要件とは?
日中支援加算の算定には、以下のような条件を満たす必要があります。
- 利用者の属性条件
- 加算Ⅰ:
65歳以上の高齢者、または、区分4以上の重度の障害者
日中をグループホームの外で過ごすことが困難な利用者
基準人員以上の支援従事者を加配
個別支援計画に基づいて平日の日中にグループホームにて支援を
行うこと - 加算Ⅱ:
日中活動サービスの支給決定を受けている利用者、または就労している利用者
もともと通勤や通所の予定があった日について、心身の状況により通勤、通所ができなかった場合
基準人員以上の支援従事者を加配
個別支援計画に基づいて平日のグループホームにて支援を
行うこと
- 注意点
- ただ単に休んだ利用者に日中支援を行っても加算は算定されません
- 日中支援サービス支援型は対象外
- 土日、祝日は算定対象外
- 加算届出と記録整備
- 都道府県等への加算の届出が必要
- 支援実施の記録(記録簿・個別支援計画等)が整備されていること
◆ 申請の流れ
日中支援加算を算定するためには、事前に以下のような準備・申請が必要です。
✅ ステップ①:対象者の選定
入居者の支援区分・障害特性を確認し、加算の対象条件に当てはまるかをチェックします。
✅ ステップ②:体制整備
- 支援スタッフのシフトや体制を見直し
- 個別支援計画に日中支援の内容を記載
✅ ステップ③:加算届出の提出
- 指定権者(都道府県や政令市)へ「加算届出書」等を提出
- 添付資料(職員体制表、利用者一覧、個別支援計画の概要等)を用意
✅ ステップ④:算定開始
届出が受理された月の翌月(または翌々月)から算定開始となります。
◆ 実際の運用で気をつけたいポイント
🔶 利用者構成の変化に注意
月によって利用者の支援区分や日中の在宅状況が変わる場合、加算要件を下回ると加算が算定できない月が発生します。
→ 定期的に支援区分や利用実績をチェックしましょう。
🔶 職員配置と支援の質
単に人数をそろえるだけではなく、「質の高い個別支援」が実施されていることが大切です。記録やモニタリングを丁寧に行いましょう。
◆ 最後に:日中支援加算は、グループホームの“強み”を活かすチャンス
日中支援加算は、重度の障害のある方や高齢化が進む入居者に対して、手厚い支援を提供するグループホームにとって、運営基盤を支える大きな加算です。適切に整備することで、利用者さんの安心・安全な暮らしの実現と、スタッフの働きやすさにもつながります。
「うちは算定できるのかしら?」「届出の書き方がわからない」などお困りのことがあれば、行政書士としてお手伝いも可能ですので、お気軽にご相談ください。
【引用・参考】
・厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定関係資料(令和6年度)」
・厚労省 障害福祉情報サービス「WAM NET」 https://www.wam.go.jp/
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