令和6年4月の報酬改定により、「業務継続計画(BCP)」の策定がすべての障害福祉サービス事業所に義務付けられました。これに伴い、「業務継続計画未策定減算」という新たな減算制度も導入され、特に放課後等デイサービスを運営されている方には、重要なポイントとなっています。
この記事では、「業務継続計画ってなに?」「減算されるとどうなるの?」「どんな内容を作ればいいの?」といった疑問を、できるだけわかりやすく丁寧に解説します。
◆ 業務継続計画(BCP)とは?
業務継続計画(Business Continuity Plan、略してBCP)とは、災害や感染症などの緊急事態が起こったときにも、事業を継続できるように備えておく計画のことです。
たとえば…
- 大きな地震で建物が損傷した場合
- 台風や大雨で道路が使えなくなった場合
- 職員が感染症などで多数休んでしまった場合
このような想定外の事態でも、子どもたちの安全と福祉を守りながら、できるだけ早くサービスを再開・継続できるようにすることが目的です。
◆ なぜBCPの策定が義務になったのか?
近年、地震や台風、大規模な感染症(コロナウイルスなど)の影響で、福祉サービスの継続が困難になるケースが多く発生しました。
特に障害児の保護者にとって、放課後等デイサービスの存在は日常生活を支える大きな柱です。突然の休業は、子どもだけでなく保護者の生活にも大きな影響を与えてしまいます。
こうした背景から、万が一の事態に備えた体制を整えることが、全事業所に求められるようになったのです。
◆ 業務継続計画未策定減算とは?
では「業務継続計画未策定減算」とはどういうものか、見てみましょう。
🔹 減算の内容(令和6年4月から適用)
令和6年4月以降、業務継続計画を策定していない事業所は、サービスごとに定められた単位数が減算されることになりました。
放課後等デイサービスの場合:
- 所定単位数の1%が減算 となります。
◆ 減算を避けるために何をすればいい?
減算を回避するためには、以下の対応が必要です。
① BCP(業務継続計画)を策定すること
厚生労働省が公開している「業務継続ガイドライン」や各自治体の様式を参考に、自事業所に合った形で計画を作成します。
② 策定したBCPを職員に周知すること
紙やデータで配布するだけでなく、ミーティングなどで内容を共有し、緊急時に職員全員がすぐに動けるようにしておく必要があります。
③ 年1回以上の訓練を実施すること
実際に災害や感染症を想定した訓練を行い、その記録を残すことが求められます。
◆ よくある誤解・注意点
❌「うちは小規模だから関係ない」
→ 小規模であっても、BCP策定は全事業所が対象です。例外はありません。
❌「過去に訓練したから今年は不要」
→ 訓練は年1回以上必要です。内容・実施日を記録しておきましょう。
❌「職員に配布しておけばOK」
→ 内容を共有し、理解していることが重要です。説明会や共有会の開催がおすすめです。
◆ 行政からのチェックはあるの?
実地指導の際には、BCPの有無や訓練の記録、職員への周知状況が確認されることがあります。整備が不十分な場合は、減算だけでなく改善指導の対象になる可能性もあります。
◆ まとめ:今こそ、子どもたちの命と安心を守る備えを
「業務継続計画未策定減算」は、単なるペナルティ制度ではありません。
災害や感染症といった“もしも”の時、放課後等デイサービスが子どもたちの命を守る拠点であり続けるための準備です。
計画を立て、訓練を行い、職員と情報を共有すること。
それは、保護者の安心につながり、地域の信頼にもつながります。
「まだ何もできていない」という事業所様も、まずは一歩を踏み出してみましょう。
BCP策定の支援やアドバイスが必要な場合は、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。
📝 参考:厚生労働省「業務継続ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html
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